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2011年10月15日 (土)

京都遠征『CGアニメコンテスト&CGアニカップ』まとめ

ずいぶん経っちゃいましたが、現場で実況のつもりで書いたものをUPします。
モバイル端末に入れっぱなしで、そのままになっていたものです。(大汗)

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『第23回CGアニメコンテスト(初日)』

今年もやってきました、CGアニメコンテスト。
自分が初心者部門に入選したのが第14回なので、上映会に来るのは今年で10回目ってことになります。
会場は一昨年と同じ、京都コンピュータ学院。
フリーのWi-Fiがあるかなと期待してたんですが、そこまで甘くはなかったようです。(^_^;)

さて、今年の目玉は本当に久しぶりのグランプリが出たこと。
とは言っても、初日の今日はまだ上映されないんです。
明日のCGアニカップ・日仏対抗戦の日本代表作品だからです。
当たり前ですね。

本日は入選6作品、外伝(選外だけど面白い)作品、初心者部門賞作品、佳作1作品、部門賞作品からエンターテインメント賞、美術賞の作品が上映となります。
以下、作者名などは原則的に敬称を略させていただきます。

●入選
◎「てるさまと猫」ぽよ
 第20回に「まひる・ぷれでぃくしょん」で入選した、萌え系が得意な監督の新作。
 今回は雨乞いの神様にさせられた、役に立たないてるてるぼうずと猫のほんわかしたお話。
 前作ほどの派手さはないが、良くまとまった良作。

◎「Anemone」山元隼一
 メッセージ性の強い2Dと3Dのハイブリッド作品。
 ベタな題材ながら、しっかりとまとめられてると思う。
 サイレントで仕上げたのも、いい効果になっている。

◎「赤ずきんと健康」井上涼
 完全に味で勝負するタイプの2D作品。
 作品も脱力系なら、作者もかなりな脱力系だね……。
 投げっぱなしなラストも、味といえば味。
 毎回お笑い系の強い会場審査員特別賞を、見事にゲット!

◎「JAPAN -The Strange Country」田中健一
 メッセージ性の強い、プレゼンテーション映像。
 作者の留学経験を生かした、日本を一歩離れた視点からシニカルに捉えたもの。

◎「GARDEN」花輪幸輝
 3Dのアート系作品。
 短い尺でセンスを感じさせる、清々しさのある小品。

◎「雨ふらば 風ふかば」沼田友
 卒業製作で11ヶ月を費やした大作。
 長い上に映像的には稚拙だが、その尺を退屈させない力がある。
 これで技術力のあるスタッフと組めば、もの凄い物が出来るかも知れない。

●外伝作品
◎「サイエンスを、正しく、楽しく。」瀬尾拡史
 法医学にCGを持ち込んだパイオニアの、これまでの実績をまとめたもの。

◎「聖エトワール学院」Ginko
 一見少女マンガ系の2D作品だが、結構黒い国際政治ネタ。

●外伝大賞
◎「GASUO'S MOVIE」AMAIMASK
 今回は純粋に次点だそうで、確かに良くまとまっているけど、突き抜けたところには欠けるか。

●初心者部門賞
◎「veil」自由ヶ月
 メッセージ性の強い作品で、とにかく絵面がカッコいい。

●佳作
◎「rain town」石田祐康
 昨年「フミコの告白」で入選した人の新作。
 前作とは真逆の作品性に、とにかく驚かされる。
 それだけの芸幅があるということなので、また次になにをやるのか期待したい。

●エンターテインメント賞
◎「ロボと少女(仮)完全版(仮)」アオキタクト
 今までもTwitterやその他の場所で語ってきたんで、なにも言うことはありません。
 とにかく面白いので、DVD買ってあげてください。

●美術賞
◎「灯花」助川勇太
 無生物や植物を動物のように動かす、CGのお手本のような作り。
 でありながら陳腐ではなく、キレイなだけじゃなく上手くまとめている。

総評は二日目の終了後に。

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『CGアニカップ日仏親善試合(二日目)』

やってきました二日目、CGアニカップ日仏親善試合。
まずはかつての入賞者でアニカップ代表でもあった、山本蒼美監督の初商業作品「この男子、宇宙人と戦えます。~僕らのセカイのまもり方」特別上映会。
これはまずアニメイトTVのポイント交換景品となり、その後一般発売になるもの。
内容の一般公開はこれが初だそうです。

壇上に山本監督とかまだ氏が登場し、いきなり恒例の監督からかまだ氏への恥ずかしいメール暴露から。
製作の経緯などを説明し、本編上映へ。
まあ、彼女らしいセカイ系炸裂のアレです。
ともかく見てください、得難い才能の持ち主であることは間違いないので。
とりあえす上映後の監督サイン会は盛況なので、良かったですね。
セカイは彼女に優しかったってことで。

休憩時間をはさんで、いよいよ本日のメインイベント「第3回CGアニカップ日仏親善試合」。
まずはオープニングアニメで前回までの戦いの結果おさらいと、今回の経緯が説明された。
その中で、毎回日仏対抗である理由が遂に明かされた。
なんと他国との対戦の話自体は多々あれど、毎度寸前で流れているというのだ。
しかも今回、フランスのe-Magicianも例年通りの開催が中止されたという。
そんな流れで、昨年のe-Magician入賞作品から選抜された5作品が、今回の戦いにエントリーしてきた。
審査は日・仏・中の審査員計五名を基本とし、会場の拍手を加味して下される。
勝敗の結果は公式サイトより、下記の通り。

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「作品名」作者名 審査員の得票数 , 拍手君の値
■先鋒
・「ルネの世界-体」 ルノー・ジャイレット 3,458
・「Tube」 奇志戒聖 2,601
勝敗判定:有効:フランス

■次峰
「モビール」 ヴェレーナ・フェルス 0、1032
「おにしめおたべ」 今林 由佳 5、758
有効:日本

■中堅
「流れ」 サボー・ドロッチャ 1、553
「やさしいマーチ」 植草 航 4、812
技あり:日本

■副将
「チェルノキッズ」 マチュー・ベルナダ 1、873
「チルリ」 川サキ 4、818
有効:日本

■大将
「闘牛」 マウロ・カッラーロ 2、620
「これくらいで歌う」 椙本晃佑 3、951
技あり:日本

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以下、各作品の感想です。

◎先鋒戦
フランス代表:「ルネの世界~体」Renaud Jaillette
 実写素材を合成した、かなりセクシャルで且つグロテスクさのある作品。
 しかしその構成力は力強く、目を離せない魅力が感じられた。

日本代表:入選「tube」奇志戒聖
 作者はホラーを得意とするコンテスト常連のプロ作家で、「CGアニメ市」で配信する予定の連作の一本目でもある。
 シチュエーションホラーと称するジャンルで、オチに向けての伏線の張り方が見事だった。

◎次鋒戦
フランス代表:「モビール」Verena Fels
 モビールにぶら下がった、ぬいぐるみっぽく処理された動物たちのユーモラスな姿。
 女性の作品らしいかわいらしさと、いかにも欧州的なデザイン性に高評価。

日本代表:入選「おにしめおたべ」今林由佳
 こちらも女性の手による、いかにも日本的な料理を食材をキャラクター化して見せる作品。
 淡い色調の手描きアニメと母子の会話のほのぼのしたムードが、何ともかわいらしい。

◎中堅戦
フランス代表:「流れ」Szabo Dorottya
 人生とは何かを問う、哲学的なアートアニメーション。
 その独特の色調と描線は、いかにも欧州の作品らしいところ。

日本代表:アニメーション賞「やさしいマーチ」植草航
 ミュージッククリップ作品で、作品の歌詞を高密度の作画で映像化したもの。
 歌詞と映像のシンクロが見事で、スタイリッシュな絵柄も良かった。

◎副将戦
フランス代表:「チェルノキッズ」Matthieu Bernadet
 日本では絶対に作られないであろう種類の素材を、大胆な処理と解釈で仕上げた問題作。
 製作自体は昨年であるとはいえ、これを代表に選んだことも日本ではあり得ないことだろう。

日本代表:入選「チルリ」川サキ
 ダークな世界観での、普通じゃないボーイ・ミーツ・ガール。
 しかもあっさり別れていってしまうのに、ちょっとびっくりした。

◎大将戦
フランス代表:「闘牛」Mauro Carraro
 ちょっとシュールなコメディー調の作品。
 キャラの造形などのセンスがいかにも欧州的で、テンポよく楽しめた。

日本代表:グランプリ「これくらいで歌う」椙本晃佑
 これも入賞常連作家が、遂にグランプリを射止めた渾身のミュージッククリップ作品。
 センスの良さとメッセージ性、作画の妙とほぼ文句のつけようがない。

結果としては、昨年同様に4-1で日本の圧勝に終わった。
しかし印象的だったのは、審査員の判断と会場の拍手の結果が逆になった対決が二つあったこと。
また、審査員票と会場票の扱いの違いが明示されていなかったことが、分かり難くしていたと思う。
初日と併せて、今回も『美少女分』や『バトル分』はやや少なめであった。
きっと作る方も避けている傾向にあるんだと思うけど、次回はそっち方面も期待したいなぁ。

リンク: 第23回CGアニメコンテスト 審査結果.

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