マッスル・ハウス4感想
5月4日に東京・後楽園ホールの「マッスル・ハウス4」に行ってきました。
今回CGアニメコンテスト上映会の前日というスケジュールも幸いし、生で観に行くことができました。
TVオンエアも済んだことなので、、全体の流れと簡単な感想だけ。
細かい試合の経過などは「マッスル観戦記」でググると、写真付きで詳しく書いてるサイトがあるのでそっちに任せます。(ぉぃ
注:「マッスル」とは、DDTプロレスリングのマッスル坂井が中心となり、通常のプロレスを大幅に逸脱した、独自の世界を繰り広げる興行イベントである。
キャッチフレーズは、「行こうぜ! プロレスの向こう側へ」
オープニングVTRでは、後楽園のチケットは完売だが翌日の名古屋追加公演が売れてないので、愛知県出身者のスターが欲しいという事に。
映像担当の「メガネ君」こと藤岡ノリカズが愛知県安城市出身なので、彼をマッスルのチャンピオンにして凱旋させようということになった。
藤岡は故郷で呉服店を営む父に自分の仕事を伝えておらず、王者になったらベルトを持って報告する、と決意を新たにする。
第一試合:IMGP世界マッスル級選手権試合
第2代王者・李日韓(大日本プロレス・レフェリー)VS 挑戦者・藤岡ノリカズ(DDTテック)
だがこのメガネ君はガリガリで、レフェリーながらアイスリボンで選手としても戦う現王者日韓との実力差は歴然。
藤岡はエルボー連打するも日韓の強烈な張り手で口から流血、投げられれば受け身が取れず頭からマットに突き刺さる。
日韓のヨーロピアン・クラッチこそカウント2でキックアウトしたものの、藤岡はもう青息吐息だ。
フィニッシュとばかりに日韓がロープに飛んだ瞬間、リング下の趙雲子龍(新北京プロレス)が足を引っ張った。
趙雲に抗議する日韓に藤岡は背後から忍び寄り、スクールボーイ!
松井幸則レフェリーがマットを3回叩いて、メガネ君が見事ベルト奪取成功である。
○藤岡(2分43秒 横入り式エビ固め)日韓× ※藤岡が第3代IMGP王者に
しかしマッスル軍が歓喜する中、流れてきた音楽は「NO CHANCE IN HELL」(ビンス・マクマホンのテーマ曲)だ。
マッスル総合演出の鶴見亜門(今林久弥:俳優・演出家)が、謎のスーツ姿の男を伴って登場である。
坂井とアントーニオ本多が「出てくるタイミングがおかしい」と抗議するが、亜門とスーツ男はアントンにツープラトンでビッグブーツとチョークスラムを見舞う。
亜門は「マッスル最大の危機が訪れた、今放送界を席巻するやらせ・捏造問題がサムライTVにも波及した」と告げる。
同行の男は査察に来た総務省検査官のお役人五味(祐司:今林と同じ劇団の俳優)だ、と言うのだ。
亜門はサムライTVの調査委員長に就任したと言い、捏造を一つ見つけるごとに一万円もらえるのだと笑う。
そして五味検査官は、今のタイトルマッチにも疑惑があると指摘。
VTRで検証すると、松井レフェリーの3カウントは2.25秒しかない。
亜門は捏造発覚により興行は打ち切り、12日の放送はガッツワールドに差し替えると宣言。
坂井が納得できないと抗議するが、亜門は「正確じゃない3カウント、水増しされた身長・体重、5秒以内なら許される反則って何だよ?」とプロレスを全否定する。
亜門は拳銃を取り出し、アントンに「撃たれたくなければ寝ろ!」と脅迫。
寝転んだアントンに覆いかぶさって亜門がフォールを宣言すると、日韓が3カウントを入れる。
「こんなことではプロレスは何時までたってもダメなんだ!」と指弾する亜門に、坂井らマッスル戦士は全面降伏。
更には趙雲にも「国籍捏造とかまずいよ、大吉(おおよし)」と本名バラシ。
亜門の提案によりこれまでの30分はなかったことになり、今もっとも視聴率の稼げるスポーツの要素を取り入れ、明確な決着のつくシステムのプロレスで出直すことになった。
舞台上に「キス&クライ」のセットが組まれ、「世界フィギュアプロレス選手権2007」が開幕する。
第一フィギュア:男子シングル・ショートプログラム 課題曲「白鳥の湖」
飯伏幸太 VS 男色ディーノ
ヒラヒラの付いたコスチュームで選手が現れ、曲に合わせて戦い始める。
チョップ連打の打ち合いからローキックの流れが、曲と見事にシンクロする。
終盤飯伏はムーンサルトプレス、シューティングスタープレスと回転技を連発。
最後は飯伏のアンクルロックに、ディーノがタップして終了。
キス&クライに両選手が上ると、謎の外国人コーチが現れて抱き合って祝福。
フィギュアスケート同様の採点が始まり、合計83.3で暫定首位となる。
ディーノはコーチに喜びのキスをしようとするが、コーチはかなり嫌そうだ。
第二フィギュア:男子ペア・フリー 課題曲「ロミオとジュリエット」
ペドロ高石&趙雲子龍 VS Mr.マジック&アントーニオ本多
ペドロが見事な側転を見せれば、マジックと趙雲も負けずにバック宙で呼応。
ペドロとマジックが舞うようなスピンキックの攻防を見せると、アントンはリック・フレアーのムーブを出し、お約束通りにデッドリードライブの餌食に。
ペドロのカポエラ式倒立スピン、マジックのムーンサルトプレスの競演。
そして最後はアントンが趙雲にダスティ・ローデス式エルボーからの卍固めを極めて、タップを奪った。
しかし、採点にアントンの頭髪の量と趙雲のチケット販売数が入ったため、点数が伸びず2位に終わる。
ここでスクリーンには控え室が映り、最終戦に出ようとする坂井と藤岡を、全日本プロレスの内田取締役が呼び止める。
本日発売された、前回の「マッスルハウス3」が収録されたDVDに関するギャランティーの交渉を持ちかけたのだ。
注:前回には、内田取締役と菊タロー、NOSAWA論外、MAZADAが出演している。
そして、世界選手権と名が付いたら全日は参加しないといけない、武藤社長から優勝命令が出ていると言う。
そして内田取締役の背後には、満面の笑みを浮かべるNOSAWA論外と菊タローの姿が。
第三フィギュア:男子ペア・ハードコア 課題曲:「エンター・サンドマン」
NOSAWA論外&菊タロー VS 726&ゴージャス松野
「エンター・サンドマン」が鳴り響く中、論外は竹刀を掲げてはビールを飲み干し、客席内を練り歩くムーブを繰り返す。
一方リング内では、菊タローが2対1の戦いを繰り広げていた。
菊タローはパイプイスを持ち出して反撃、ゴージャスのバケツを奪って逆にかぶせシャイニング・菊ザード。
だが数の劣勢は覆せずピンチに陥ると、やっと会場を一周し終えた論外がラダーを持ってリングへ。
菊タローを含む全員をラダーでなぎ倒すと、ゴージャスとラダー上で攻防を繰り広げるが、これは菊タローが押し倒す。
菊タローが726をイスへのブレーンバスターでKOすると、続いてゴージャスの頭を論外がイスで殴打。
倒れたゴージャスを竹刀で乱打し、論外が勝ち誇ったように竹刀を頭上に掲げる。
ピクリとも動けないゴージャスにマッスル戦士が駆け寄り心配するが、亜門は「仕方ないだろ、ハードコアなんだから」で片付ける。
坂井らが「何故毎回こんな犠牲者がでるような企画をするのか、マッスルを止めさせたいのか」と詰め寄ると、亜門は「どうして分かったんだ」と回答。
そこで「Fire」のテーマが鳴り響き、DDTプロレスリング社長・高木三四郎が登場した。
高木はDDTの経営は危機的状況にあり、マッスルは海外に身売りが決まったと報告。
エンターテイメントMMAの団体、「UCC」がマッスルのオーナーになるという、まるでどこかの総合格闘技興行みたいな話が展開。
スクリーンにはどこかで見たような字体のUCCロゴが表示され、そして試合風景が流れる。
いざクライマックスというところでアメリカ国家が流れ、そして選手たちがスローモーションに!!
高木はマッスルの選手はDDTを退団し、アメリカに渡るよう勧告した。
ここで中締めのマッスルポーズをしようとすると、セコンドについていたはずの大家健の姿がない。
大家のブログが大変なことになっている、と726が言うので控え室の映像を出してみると、そこには今まさに首を吊ろうとする大家の姿が。
マッスル同様、大家所属のユニオン・プロレスも身売りだと聞いて、前途を悲観したらしい。
全員で慌てて控え室に向かったところで、休憩時間となった。
休憩開け、現体制最後のマッスル興行「THE FINAL SHOW」のオープニングVTRが流れる。
亜門とマッスル戦士がリングに上がり相談開始、亜門が「高木の話はおかしい」と指摘。
ディーノが「自分たちのギャラも安いし、経費がかかってないのでそんなに苦しいとは思わない」と発言。
坂井とディーノは、高木が最近時計収集に凝っていることを指摘、亜門は「高木が経費流用をしているに違いない」と推理する。
スクリーンに控え室の映像が出ると、高木は嬉々として時計みがきに励んでいた。
亜門が「真に倒すべきはK-DOJOでも大日本でもなく、DDTではないのか」と提言、坂井も同調した。
アントンが掃除夫に変装し高木の闇討ちに挑むも、タイミングが合わずに失敗。
一度戻って対策を練っていると、控え室に大賀の亡霊が出現した。
どうやら休み時間中、結局誰も助けに行かなかったらしい。
霊感の強い坂井が除霊に向かい、清めの塩を投げつけるが通用しない。
ディーノが「塩には塩が効かないか」と辛らつなコメント。
ペドロがカポエラで物理攻撃を行うが、やはり霊体なので無効。
ここでマジックがマスクをずらすと、黄金色の光があふれ出して大家の霊が消失した。
だが、この騒動で高木は完全に警戒してしまったようなので、マッスルとは関係ないDDT選手の方がいいのではないか、と亜門が提案。
隅のほうでただ見をしていたタノムサク鳥羽選手を発見し、DDTの倍額・一試合2万円のギャラを約束して、闇討ちを依頼した。
控え室に映像が転じると、なんと高木は試合用コスチュームになり、万端の迎撃準備をしている。
こっそり後ろから控え室に入ろうとした鳥羽は、高木のスタナーの餌食となった。
再び「Fire」のテーマが流れ高木がリングに登場、控え室にモニターがあって、全て筒抜けだったのだ。
高木が「リングで決着つけよう、全員でかかって来い」と言うと、全員が凶器を持って高木を袋叩きに。
高木は前言を撤回して、代表者との1対1での試合を提案。
今日まだ試合をしていない坂井が代表として、ランバージャック・デスマッチで戦う事に。
第二試合:ランバージャック・デスマッチ
高木三四郎 VS マッスル坂井
本来のランバージャック・デスマッチは、両陣営のセコンドがリングを囲んで、リング外に出た選手を強制的にリングに戻すルール。
だが今日のセコンドは、全員がマッスル戦士である。
坂井がリング外に出ればスポーツドリンクを与え優しくいたわるが、高木が出ればみんなで袋叩きだ。
高木はスタナーで坂井を捕らえ、二発目を放とうとすると場内が暗転、葉加瀬太郎の「エトピリカ」が流れ、スローモーションが始まる。
坂井がスタナーで倒れ、乱入したアントンもペドロとまとめてスタナーで返り討ち。
マジックをクローズラインで場外に転落させ、趙雲の後頭部にも一撃。
ここで坂井をカバーすると、スクリーンには坂井のモノローグが。
「こんな中堅インディー団体のレスラーには負けられないんだ」とキックアウト。
ここで亜門の裏拳が炸裂し、続いてアントンが負傷している高木の鼻を攻撃。
趙雲が中華剣を持ち出すが、これはかわされアントンが斬られる。
高木は真剣白刃取りで剣を奪うと趙雲を返り討ちにし、坂井に斬りかかろうとする。
そこで背後から大家の亡霊が短剣を持って現れ、高木を刺した。
坂井が倒れた高木をカバーに入ると、今度は高木のモノローグが。
「武道館はDDTが先にやるんだ、先は越させない!」
しかし、カバーを返そうとする高木の腕を坂井が押さえ返して、3カウント。
○坂井(7分33秒 体固め)高木×
高木はマッスルのチームワークに負けたと言い、坂井の本気を確かめたかったと述懐。
身売りの話も全て嘘だったと告白し、武道館大会の開催もバックアップすると宣言した。
だが不安材料が一つある、それは坂井のレスラーとしての実績だ、とも言う。
プロデュース能力は本物だが、レスラーとしての実力は本物でない、と。
そこで坂井が戦うべき相手、マッスルの世界が一切通用しない男を用意した、と高木。
坂井は「今流れはこっちに来ている、そんな奴がいたら会ってみたい」と反駁した。
その時、会場に風の音が鳴り響いた。
花道から現れたのは、現・三冠ヘビー級選手権者の鈴木みのる!
第三試合:マッスル坂井 VS 鈴木みのる(パンクラスMISSION)
体格に勝る坂井だが、その全てがみのるには通用しない。
一方的な殺戮劇の末、みのるが坂井を逆片エビに捕らえると、場内暗転。
エトピリカが流れる中ゆっくり起き上がった坂井に、みのるは一切付き合わず高速キック。
そしてストンピング連打で追い込むと、再び場内暗転。
坂井がスローモーションで起き上がって咆哮すると、みのるの顔面にパンチ。
しかしみのるは涼しい顔でそれを無視、ニーリフトで坂井のボディを襲った。
腕十字を辛うじてロープに逃れた坂井を、みのるはコーナーに飛ばす。
いつものようにドロップキックのフェイントからビンタ、そして坂井を反対のコーナーに送る。
しかし坂井は突っ込んでくるみのるにカウンターの前蹴りを放って反撃すると、バックドロップ、マッスルボンバーと畳み掛ける。
みのるはスリーパーを狙うが、坂井はそれを担ぎ上げてやや崩れ気味のバーディクト。
三度暗転してモノローグが流れ出すが坂井はそれを止めさせ、「もう少しプロレスでやらせてください」と言う。
坂井は必死にみのるの顔面を張るが返しの一撃でダウン、最後はゴッチ式パイルドライバーに沈んだ。
○鈴木(11分287秒 ゴッチ式パイルドライバー)坂井×
みのるがマイクを握り、「お前らプロレスなめてんだろ、中途半端な気持ちで俺とプロレスに関わるんじゃねーぞ。みんな俺に殺されんぞ? 適当にやってんじゃねぇよ、命賭けろって!」と説教。
そして花道を下がるかと見せて、きびすを返して舞台に上がると「キス&クライ」に座り、坂井を呼び込む。
サブスクリーンにメインフィギュアの採点が表示され、鈴木みのるのレスリング技術200点が加算されて大逆転優勝に。
みのると坂井が抱き合って喜びを分かち合う。
坂井はリングに戻って、「プロレスラーになってこんな大きなタイトルを取ったのは初めて」と感涙に咽ぶ。
翌日名古屋の追加公演も同じ演目ということで、鈴木みのるに勝って完全優勝を目指しますと宣言し、次回9月の北沢タウンホール3日間連続興行をアナウンスして、武道館目指してマッスルポーズで締め。
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前回の興行でも内容が二転三転したので、ある程度の予想は立てていたものの、まさかここまでやられるとは思いませんでした。
そもそも、以前からプロレス=フィギュア・スケート論とか唱えていたので、今回のネタはツボに入ってたり。
何よりマッスルとは対極の存在である鈴木みのるの登場と、最後のオチが頭のフィギュアプロレスに戻る部分の見事さには、もう脱帽です。
プロレスで最も重要な「サプライズ」をこれだけ畳み掛けられると、本当に手放しで絶賛するしかないです。
エンターテイメントとはかくあるべし、というのを見せ付けられました。
ただ、次回興行は平日のため、絶対に見に行けないのが辛いところですねぇ。
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