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2006年9月 8日 (金)

レッスルエンジェルスサバイバー評

まず、このゲームに手を出す前に用意すべきものが二つある。
それは「プロレス頭」と、想像(あるいは妄想)力だ。
豊かな想像力と「プロレス頭」がない限り、このゲームを本当に楽しむのは難しい。
逆にそういうセンスに自信があるという人なら、大いにウェルカムだ。

さて、「好きな選手が思ったように育てられないから許せない」と嘆く声をよく聞くが、そんなことは当たり前だ!
真なるエースになりうる素材など、そうそういてたまるものか。
この10年余り、女子プロレス界で何人の「期待の新人」が期待外れに終わっただろうか。
鳴り物入りでデビューしてから、1年経たずに辞めた選手は一体何人だ?
まして3年5年となれば、その数は更に……。
その意味では、ゲームの中での選手の脱走率は、低すぎると言っても良い。
そもそも、誰もが武道館やドームを満員に出来るはずがないのだ。
現実を見るがいい、今や後楽園ホールを満員にできる団体すらロクにないのだから。
自分が好きな選手をエースと決めたのなら、その選手が勝てる相手と試合を組めばよい。
あるいは、必ずしも勝利する必要すらないのではなかろうか?
短時間で楽勝するよりは、強敵相手に全力を出し切って粘った挙句に玉砕した方が、ファンの共感はよほど得られるはずだと思うが。
キューティー鈴木は強くなくとも、誰よりも客が呼べる選手であった。
広田さくらは色物ではあっても、他の誰よりもプロフェッショナルであった。
プロレスとは、そういうものじゃないのか?
選手には適材適所というものがある。
全員がメイン・イベンターでは、興行にメリハリがつかない。
前座にコミカルな試合があり、めまぐるしい6人タッグがあり、ハードヒッティングなシングルがあり。
その組み合わせを創り出すのが、マッチメイカーでもあるプレイヤーの大事な仕事だろう。
それすらも苦痛だという人なら、そもそもこのゲームに手を出すべきじゃない。

元来プロレスは、勝敗を競う種類の競技スポーツではない。
熱い・楽しい試合をして、客に喜んでもらうのが本来の姿ではないのか。
そして、そのカードが呼べる客数に応じたキャパで、運営すれば良いだけのことだ。
横浜赤レンガ倉庫が常小屋でも、それで良いんじゃないのか。
身の丈経営を心がけるようにすれば、少なくとも倒産はしないだろう。

翻って今作をプレイしてみて、「これはウイニング・ポストに似ている」と感じられた。
それも開始初期の資金的に苦しい時期が、良く似ていると思う。
競走馬を買い付けるように選手をスカウトし、やりくりして利益を出し、施設を拡張する。
それに人も馬も同じ生き物だ、思った通りに育たなくて当たり前。
年6頭デビューさせて、重賞勝ち馬(=チャンピオンホルダー)は1~2頭もいれば上々。
素質は生まれたときにもう決まっているのだから、それを見極めるのもオーナーの仕事だ。
試合で選手を直接操作できる分、ウイポよりは優しい出来だと思うが、どうか?
競馬にだって強い馬よりずっと愛される馬がいる、プロレスラーも同じだ。
自分が愛した選手を、最後まで愛しぬけば良いではないか。
善戦マンでも、ブロンズコレクターでも良いじゃないか。

私はPCE版やSFC版は遊んでいないが、旧シリーズはSpecialを除く1~3を、Vシリーズは3作ともプレイした。
その上で言うが、過去の幻影を追うのは止めた方がいい。
プロレスもゲームも生き物である。
プロレス界の現実の方が、レッスル・エンジェルスの世界をはるかに凌駕してしまった。
旧シリーズが発売されたのは、いわゆる対抗戦時代の華やかなりし頃。
私は"3"を「JWPのヤマモの気持ちになれるゲーム」として楽しんでいたのだ。
V3では、祐希子がGAEAで一期生を育てる長与千種とダブって見えた。
だが、見るがいい。
ゲーム中の新女に相当する全日本女子はもはやなく、ヤマモは選手との方向性の違いから、JWPを放逐された。
それ以後に立ち上がった団体を見ても、現存するのは僅かではないか。
その点で、10年というデフォルトのプレイ年限は、実に絶妙だと思う。
かのGAEA JAPANが10年で自らの幕を下ろしたように、一人のエースを軸にした団体の寿命など、それでちょうどいいではないか。
今やGAEA一期生の里村明衣子が団体の長となり、センダイ・ガールズ・プロレスリングで新人を育てている。
我々もそれに倣い、新たな選手を発掘し育てる喜びを感じようじゃないか。
私にとってこのゲームは、女子プロレス界の現実を再確認するためのものであるのかもしれない。
(元・大熊本レスリング協会認定覆面選手権初代王者「ザ・バーサーカー」記す)

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